11月18日 人間史としての工学 :「各論」
吉川暢宏 教授
東京大学生産技術研究所 基礎系部門
価値創造デザイン推進基盤
革新的シミュレーション研究センター
次世代モビリティ研究センター

GXインフラを支える材料強度学

「巨大システムはなぜ壊れやすいか?」
カーボンニュートラルを実現するために水素を媒体とした大規模なエネルギー供給網が整備されつつある。
古代文明発祥以来、人類は様々な社会インフラを整備してきたが、その歴史は大事故の歴史と重なり、事故の主要な原因は材料の破壊である。事故のたびに、人類は材料の破壊に関する新たな知見を得てきた。

これまでイノベーションの波に符号するように大規模なインフラ事故を繰り返しており、今後訪れるであろう第6の波においても事故を起こす可能性は高い。 経済性向上のため大規模化を目指して開発が進められている水素エネルギーインフラにおいて、大規模事故を防ぐための要諦は水素容器の長期健全性確保である。その解決のための開発課題は実験とシミュレーションを融合した新たな破壊予測手法である。
経済性の向上に付きまとう事故を認識したうえで工学が果たすべき責任と社会の関わりを考察していただきたい。
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