現代社会に生きる我々はAI、半導体等の先端科学技術に日々接しながら過ごしており、先端科学技術はもはや社会そして人間をも大きく規定している。この事実はエンジニアだけではなく社会全体で共有し,人類に共通する課題ともなっている。これまでも科学技術にまつわる意思決定にはエンジニアのみならず様々な社会的立場の者が関与してきた。いまや文系理系に拘らず、「リベラルアーツとしての工学」が現代人に必須と教養として求められている。
本講義では、人間・社会との関係性のなかで総合的に科学技術の概念を文理を問わず,受講生が学ぶことを目的とする。従来の科学史講義とは異なり、工学の主要領域にて先端研究に携わる研究者がオムニバス式に講義を担当する.そして専門領域の過去、現在、未来を踏まえつつ、人間や社会との関係性を考えるうえで焦点をなす研究や事例に着目し、数式を基本的に使わずに説明する。
受講生が社会を構成している先端科学技術の起点及びその展開に接することで、未来を拓くための基盤となる知見を得るとともに、俯瞰的な視点を涵養する機会となるよう期待している。